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未来を照らす:Trideが挑むマイクロLED最難関の課題

ポケットの中のスマートフォンから、車のパネルまで。私たちが日々見つめるあらゆる画面を支えるディスプレイ技術は、その原理においてこの20年ほとんど変わっていません。Vertex Ventures Japanは、この状況を変えようとするディープテック・スタートアップ、Tride株式会社へ出資しました。「ピクセルの、その先へ」を掲げる同社の技術をご紹介します。

マイクロLEDの期待と、立ちはだかる課題

マイクロLEDは、長らく次世代のディスプレイ技術として注目されてきました。より高い輝度、より深いコントラスト、優れた省電力性、そして現在主流のOLEDやLCDをはるかに上回る長寿命。ディスプレイに求められるすべてを、同時に実現しうる技術です。

しかし、この分野の発展を阻んできた壁がありました。「フルカラー化」です。従来のフルカラー・マイクロLEDは、赤・緑・青の発光素子をそれぞれ異なる材料から作り、数百万個にのぼる微細なチップを一枚のパネル上に転写する必要がありました。この「マストランスファー」の工程は時間もコストもかかり、量産化が難しく、マイクロLEDを多くの実用領域から遠ざけてきました。裏を返せば、色の課題を解けば、この技術は一気に花開きます。

異なるアプローチ:単一チップからのフルカラー

Trideの答えが、モノリシック・フルカラー・マイクロLEDです。個別に製造した3色のチップを組み合わせるのではなく、単一の連続した半導体構造の上で赤・緑・青を実現します。色そのものがデバイスに組み込まれており、チップを一つひとつ転写する必要がありません。

このアプローチは、長年にわたる窒化物半導体の研究に根ざしており、業界全体を制約してきたボトルネックそのものに正面から挑みます。工程の削減、より高い画素密度、そして量産化への明確な道筋を切り拓きます。

なぜ重要なのか

モノリシック・マイクロLEDが真価を発揮するのは、現在のディスプレイが力不足となる領域です。AR・VRでは、屋外でも使える輝度と、目のわずか数ミリ先に置けるほどの高精細を両立します。ウェアラブルや車載用途では、既存技術では届かない省電力性と耐久性をもたらします。そしてディスプレイがさらに小型化・高精細化するなかで、チップの個別転写に依存しない構造は、単に低コストというだけでなく、実現の前提そのものとなっていきます。これは漸進的な改良ではなく、次世代を支える基盤技術です。

ハードテックのための布陣

Trideは、ディープテックに不可欠なものを兼ね備えた創業チームを擁しています。世界水準の研究力と、豊富な産業経験です。代表取締役CEOの坂本達仁氏は、ローム セミコンダクターのシリコンバレーオフィスで大手テクノロジー企業を担当した経験を持ち、技術戦略・事業戦略・エコシステム構築を統括します。取締役COOの宮内洋宜氏は、東京大学で博士号を取得後、QDレーザやGITAIで経験を積み、事業開発とオペレーション全般を担います。執行役員CTOの奥野浩司氏は、名古屋大学で博士号を取得し、豊田合成にて青色LED、レーザーダイオード、マイクロLEDの研究開発に携わってきました。そして科学面を支えるのが、取締役(社外)CSOの岩谷素顕氏。名城大学教授であり、窒化物半導体デバイス研究の世界的権威として、共同研究と知財戦略を牽引します。

Vertexの視点

Trideは、まさにVertex Ventures Japanが支援するために存在する、腰を据えて挑むハードテック企業です。日本発の先端研究を、世界に通用する事業へ。私たちはTrideチームを支援できることを誇りに思い、この先の歩みを心より楽しみにしています。